2018/10/26
細胞膜からアロマを知る~抗菌のアロマレッスンから見る細胞たち~
先日、いつもの施術を受けてきました。
身体の声はその人の状態を見事に表してくるといつも感心します。
さて、そんな体についてですが。
今日はレッスン内容から広がった細胞からの精油の作用について書いてみましょう。
37兆個ある細胞の中にあるもの
私たちの身体にある細胞は、約37兆個。
以前は60兆個などといわれていましたが、技術の進歩から今は37兆個となっています。
余談ですが、こうして世の中の常識はどんどん変わるので、過去のことを間違っているとか思わないでほしいのです。当時はそういう見方が有効で、そこまでの技術の中ではそれが常識だったということ。
つまり、現在は違う説でも過去は真実だったということになります。
イコール、現在の説も未来には違う説になることもあるのです。
さて、こうしてわかってきた37兆個の細胞たちも元は1個の受精卵から始まりました。
その細胞がどのような形をしているか?
アロマの世界はここを見ることで広がりが出てきます。
よく言われる精油の抗菌作用。
精油の分子が細胞のどこをどうしているのか?
そんな問いかけからのレッスンは抗菌について学んでいきます。
では細胞はどんな構造をしているのでしょうか?
大きく分けて外側から
・細胞膜(脂質)
・細胞質(ジェル状)
・細胞質内小器官
・核
となっています。
細菌の細胞は外側が細胞膜でおおわれていて、この膜にはリン脂質でおおわれます。
この脂質に精油の成分が吸着して薬理効果が発現されることがわかっていますが。
こうした細胞膜に精油成分が吸着するということを考えると、私たちの身体にある細胞はすべて精油を吸着させる可能性があるということになります。
抗菌という作用が起こるメカニズム
こうして、細胞膜に精油の芳香分子が吸着するとまず起こるのが細胞膜の電位変化など。
(細胞膜は膜の電位で細胞内外のやり取りをしています)
膜電位の低下により細胞膜に精油成分が入ると膜が細胞を包む力が弱ります。
これが少量の精油成分だと膜の電位は戻るので、細胞は保護されるのですが、膜に吸着する精油成分が多くなると膜は破れ中の細胞質成分が外に流出する。
これが抗菌の活性の一つのメカニズムといわれています。
また、こうした細胞膜の傷害によりミトコンドリアの内膜にも影響が出ると、細胞の死(アポトーシス)を誘発するために、大量の精油の使用が危ないということにもなってきます。
このようなメカニズムをみると、精油の抗菌活性は菌の細胞の成り立ち方にも差異があるので(グラム陽性菌、グラム陰性菌など)一概に精油の抗菌活性がすべての菌に当てはまるわけではありませんが。
おおかた、このように細胞膜に精油が吸着するということにより私たちの身体に精油が作用しているということが見えてくるのが一つの精油の薬理作用になります。
抗酸化作用が認められている精油たち
上の考え方で見ると、精油はミトコンドリアの機能を傷害して私たちの身体に酸化ストレスを生じさせることになってしまいます。
活性酸素は人体にとっては大きなマイナスなのに、なぜ精油が私たちの身体にいいのか?
そこには、精油の多くに抗酸化作用があることが注目されているのです。
実は精油には活性酸素を消去する作用と、発生させる作用の二面性があることがわかってきているのですが。この二面性の作用が保護に働くのか、破壊に働くのかは、ミトコンドリアの内膜を傷害させるかさせないかにかかっているというのではないか?という考察があるようです。
こうした中で、精油の活性酸素除去のメカニズムが明らかになってきていて、特にフェノール類の抗酸化作用などはすでに研究が進んでいて結果も出ているのだそうです。
また、皮膚の老化も活性酸素によるものですが。こうした老化防止にいい成分などもすでに挙げられており、例えばパルマローザに多く含まれるゲラニオールはこうした活性酸素を消去することがわかっています。
(活性酸素除去のメカニズムはレッスンにてお伝えしましょう)
だから、感染症にかかったときにフェノール類やモノテルペンアルコール類を使用するのはこうしたメカニズムが分かると納得できるというわけであります。
こうしてみると、精油の作用はやはり体内でのバランスをとっているということもあながち間違ってはいないことが見えてきます。
※参考文書
抗菌アロマテラピーへの招待:井上重治 安部茂先生 著
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